
2026年7月に発生した熊本地震にて現地を視察した総理大臣が激甚災害指定を行う意向を伝えた、同年の8月に発生した千葉豪雨発生後は千葉市長が早期の激甚災害指定を強く求めた、など近年テレビをはじめとしたメディアで「激甚災害」という言葉を見聞きする機会も多くなりました。「激甚災害とはほかの災害と何が違うの?」「激甚災害に指定されると何か支援が受けられる?」といった疑問を持つ方も多いかもしれません。
本記事では、激甚災害の概要や激甚災害指定の条件、指定されると受けられる具体的な支援内容について解説します。似ている言葉である特定非常災害との違いについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
もくじ
激甚災害とは
まずは激甚災害の言葉の意味や近年の激甚災害指定の災害、特定非常災害との違いを解説します。
激甚災害の概要
激甚災害とは、災害対策基本法により「著しく激甚である災害」と定義されています。規模や被災地域や被災者への被害が大きく、財政援助や助成が必要とされる災害は、激甚災害制度に基づいた「激甚災害指定基準による指定」または「局地激甚災害指定基準による指定」により、激甚災害として指定されます。
激甚災害に指定されると、公共施設や農地、林道などの復旧を目的とした国からの補助の割合の増加や、避難所への補助といったさまざまな支援が受けられます。激甚災害指定による支援の具体的な内容については、後ほどくわしく解説します。
近年の激甚災害に指定された災害
2025年・2026年(令和7年、令和8年)に激甚災害に指定された災害は以下の通りです。
- 大火による岩手県大船渡市の区域に係る災害(2025年2月19日)
- 台風第12号・台風第15号の前線による豪雨および暴風雨による災害(2025年8月5日〜9月21日)
- 台風第22号・第23号の暴風雨による東京都八丈町及び青ヶ島村の区域に係る災害(2025年10月8日〜13日)
- 地震による鳥取県境港市の区域に係る災害(2026年1月6日)
- 大火による岩手県上閉伊郡大槌町の区域に係る災害(2026年4月22日)
- 令和8年熊本地震(2026年7月28日)
地震、風水害、林野火災と災害の種類を問わず規模と被害の大きい災害が指定されていることが分かります。
参考:内閣府_防災情報
特定非常災害との違い
特定非常災害とは「著しく異常かつ激甚な非常災害」と定義される災害です。激甚災害指定がおもに復旧や復興を目的とした支援や補助が受けられるのに対して、特定非常災害に指定されると、被災者の生活再建を目的とした特別措置が受けられます。
たとえば免許の更新や財産の相続決定など法的な期限の延長や、債務超過の状態でも災害発生から最大2年間の破産手続きの開始の停止などです。
激甚災害に指定されると受けられるおもな補助や支援

激甚災害に指定されると、災害対策基本法に基づいて以下のような補助や支援が受けられます。
- 災害復旧補助国庫からの支援(河川、海岸、砂防設備、道路、港湾、漁港、下水道、公園、公立学校、公営住宅、生活保護施設、児童福祉施設、農業用施設、林道、農林水産業、共同利用施設などの農地等の復旧および復興にかかわる金額の補助)を1〜2割上乗せ
- 被災地の早期復旧のための災害復旧事業の補助金の上乗せ
- 国と都道府県の負担で避難所や仮設住宅、給水活動、食料や衣服の給付
- 中小企業者へ金利引き下げや償還期限の延長などの災害復旧貸付等の支援措置
受けられる補助や支援は被害の規模や状況に応じて追加となることがあります。たとえば令和8年熊本地震では激甚災害指定後、2026年8月22日に特定地方公共団体が設置する公立社会教育施設(公民館、図書館、体育館等)の災害復旧事業に要する経費の3分の2が補助される「公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助」が追加される見込みとなりました(2026年8月26日現在)。
激甚災害に指定されるための条件や流れ
激甚災害は災害対策基本法を基にした「激甚災害制度」に則り指定されます。発生した災害が激甚災害に指定されるための条件や要件、指定までの流れについて解説します。
激甚災害に指定されるための条件や要件
災害による被害額が全国または当該地域の財政規模に対し、一定の割合を超えた場合に激甚災害として指定されます。たとえば被害の総額を算出し、地方の公共団体の標準税収入に対する割合などと比較し、被害総額が一定の割合を超えた場合には激甚災害に指定されるケースが多いです。
激甚災害指定で満たすべき一定基準は、中央防災会議が定めている激甚災害指定基準および局地激甚災害指定基準にて規定されています。
本激と局激の違い
激甚災害には、本激と局激の2種類があります。
本激は特定地域ではなく発生した災害そのものが激甚災害として指定されたものです。たとえば日本列島の広範囲に及ぶ大震災や、本州を縦断した台風などにより大きな被害が出た場合には、本激となります。
局激は、災害によって大きな被害を受けた市町村を特定および指定し、激甚災害として指定されたものです。たとえば線状降水帯の発生や土砂災害などで一部の市町村が局地的に大きな被害を受けた場合は、局激として指定されます。
本激と局激の2種類が生まれた背景には、元々1962年に最初に制定された「激甚災害法」では被害状況の判断基準を全国規模としていたため、局所的な災害は激甚災害として指定されないケースがありました。大きなきっかけとなったのが1968年に宮崎県で発生した「えびの地震」です。宮崎県西部県境にあるえびの町および隣接する鹿児島県側の吉松町の一帯で1ヶ月間に死者3名、負傷者44名、5,175世帯20,242人罹災と大きな被害を出したものの、当時の激甚災害法はあくまで全国規模の災害が対象であり、えびの地震は激甚災害の指定を受けられず、必要な支援や補助を受けることができませんでした。
えびの地震での教訓を活かし、災害そのものおよび全国ではなく市町村単位の被害額を基準とする「局地激甚災害指定基準」と「局地激甚災害制度」が創設され、特定地域における災害に対しても、局激として特別措置が適用されるようになりました。
参考:えびの地震と地盤災害
現在は本激は激甚災害指定基準によって、局激は局地激甚災害指定基準によって指定されます。本激、局激ともに必要な支援が行われるものの、全国規模である本激の方が特別措置の数が多く、範囲が広い特徴があります。
激甚災害指定を受けるまでの流れ
激甚災害指定を受けるまでの流れを以下にまとめました。
- 災害の発生後、市町村、都道府県による被害状況の調査
- 激甚災害(本激)指定基準を満たす場合本激として認められる(指定見込みとして公表)
- 本激として指定されない場合は、局地激甚災害指定基準に合わせて早期局激指定または査定額の算定と再度局地激甚災害指定基準の判定
- 被災地の各市町村が都道府県経由で各災害復旧事業等にかかる査定事業費を提出
- 年度末に局激に指定
激甚災害指定を待つ前に「自助」でできること
激甚災害指定は復興や復旧に対する金銭的な補助のほか、避難所開設などの支援も含まれています。ただし、激甚災害指定は国の公助にあたり、実際の補助や支援を受けるまでに長い時間がかかります。
災害発生時、自分や家族の命を守ったり、公助を受けるまでの間の安全を確保するために大切なのが「自助」です。自助は災害から自分や家族の命を守るために自ら行う取り組みを指します。
日頃からできる自助のひとつが「防災備蓄」です。災害発生時に安全な場所へ避難するときや、自宅で在宅避難を続ける場合、ライフラインが止まった状態でも過ごせるように日頃からの備蓄を心がけておきましょう。
食料や飲料水などと同じく、ライフラインが止まっている状態でも日常生活を送るうえで必要となるのが、非常用トイレです。マイレットでは、備蓄場所や用途に応じた幅広い非常用トイレや携帯トイレを取り扱っております。忘れがちなトイレへの備えもぜひ行っておきましょう。
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まとめ
激甚災害の概要や受けられる支援や補助、指定の条件、指定されるまでの流れについて解説しました。近年では激甚災害に指定される甚大な被害をもたらす災害も多発しています。防災備蓄を見直すなど、日頃から災害への備えを行っておきましょう。



