
甚大な災害が発生すると、ライフラインや物流が止まり、建物や道路、家屋なども多く損害を受けます。災害によって被災した人々を支援するための法律が「災害救助法」です。いつ起きるかわからない災害への備えとして覚えておきたい、災害救助法の概要や受けられる支援の内容、条件について解説します。似ている制度である被災者生活再建支援法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
もくじ
災害救助法の概要と適用された近年の災害
まずは災害救助法の概要や目的、適用となった災害について解説します。
災害救助法とは
災害救助法とは、災害発生後、被災者の迅速な救助や保護を目的として制定された法律です。災害から国民の生命や財産を守るための法律として「災害対策基本法」がありますが、災害救助法は災害発生後の応急救助へ対応するための災害対策基本法内の法律、という位置づけになります。
災害救助法の目的
災害救助法は、災害発生前後の以下のフェーズでの応急救護を目的に制定されています。
- 災害発生後
- 災害が発生する恐れがあり、国が災害対策本部を設置した際の「おそれ段階」
災害が実際に発生した場合だけでなく、今後大規模な災害が発生する予備段階での応急救護も災害救助法により行うことができます。
災害救助法の原則
災害救助法は、以下5つの基本原則をもとに国と都道府県が救助要請を発し、市町村が補助を行います。
- 事情や経済面を問わず、平等に救助の手を差し伸べる「平等の原則」
- 必要に応じて臨機応変に救助する「必要即応の原則」
- 衣食住の救援に関しては現物をもって行う「現物給付の原則」
- 居住者(住民)だけではなく、被災地の現地にいる被災者は全員救助の対象とする「現在地救助の原則」
- 被災者の申請有無にかかわらず、都道府県知事の要請に応じて迅速に救助する「職権救助の原則」
近年の災害救助法適用となった災害
2026年に発生した災害のなかで以下が災害救助法の適用となりました(2026年9月現在)
- 8月27日からの大雨に伴う災害
- 7月17日から18日にかけての大雨に伴う災害
- 令和8年8月13日からの大雨に伴う災害
- 令和8年熊本地震
- 令和8年7月滋賀県甲賀市の土砂崩れ
- 令和8年6月24日からの大雨に伴う災害
- 令和8年岩手県大槌町の林野火災
災害救助法の適用となる条件
発生した災害が以下の条件を満たした「現に救助を必要とする者(被災者)」が多数発生している場合、国の判断により災害救助法が適用されます。
- 災害により一定数以上の住家の滅失(全壊)が生じた場合
- 多数の者に生命または身体への危害が生じ、継続的な救助が必要な場合等
災害救助法によって受けられる支援の範囲や判断基準

災害救助法が適用となった場合に行われる支援や応急救護の範囲や基準について解説します。
災害救助法の支援の内容
災害救助法の適用となると、都道府県が実質的な主体となり、以下の分野での支援や応急救護を行います。
- 避難所の設置
- 医療及び助産
- 埋葬
- 応急仮設住宅の供与
- 被災者の救出
- 死体の捜索・処理
- 炊き出しその他による食品の給与
- 福祉サービスの提供
- 障害物の除去
- 飲料水の供給
- 住宅の応急修理
- 被服、寝具その他生活必需品の給与・貸与
- 学用品の給与
救助や保護、支援に必要となった費用は都道府県は最大100分の50のみの負担、市町村は実質負担はなくなり、残りは国庫から負担されます。
災害救助法による救助や保護、支援の範囲や期間については、あらかじめ都道府県知事などが内閣総理大臣が定めた基準に従って定めます(一般基準)。ただし、一般基準で救助や保護などを適切に行うことが困難な場合、都道府県知事などが内閣総理大臣に協議、同意を得たうえで「特別基準」を定めることも可能です。
災害救助法が適用とならない場合
発生した災害が災害救助法の適用とならなかった場合、市町村が主体となり、救助や保護活動や対応を行い、都道府県は救助や保護の後方支援や調整に回ります。なお、対応で発生した費用は市町村や都道府県の負担となります。
災害救助法と被災者生活再建支援制度の違い
災害救助法と似ている制度に「被災者生活再建支援制度」があります。被災者生活再建支援制度の概要や両者の違いを解説します。
被災者生活再建支援制度とは
被災者生活再建支援制度とは、家屋の全壊など自然災害によって生活基盤に著しい被害を受けた世帯(被災世帯)に対して生活の再建を支援する制度です。生活の再建のために、被災者生活再建支援金(支援金)が支給されます。
従来支援金の申請手続きが複雑だったものが、平成19年11月の改正により手続きが大幅に改善され、支援金の使い道の制限もなくなりました。
被災者生活再建支援制度の支援内容
被災者生活再建支援制度では、被害に応じて以下の支援金が被災世帯へ支給されます。
- 基礎支援金:全壊世帯に100万円、大規模半壊世帯に50万円が支給される
- 加算支援金:全壊世帯が住宅を建設・購入する場合は200万円、補修する場合は100万円、賃借する場合は50万円が基礎支援金に加算される(金額はいずれも世帯人数が複数の場合、単数世帯は各3/4相当の金額)中規模半壊世帯が住宅を建設・購入する場合は100万円、補修する場合は50万円、賃貸する場合は25万円がそれぞれ支給される
かつては支援金の支給範囲が全壊世帯のみでしたが、令和2年12月の支援法の一部改正により、支援金の支給対象が中規模半壊世帯まで拡大されました(支給されるのは加算支援金のみ)。
災害救助法との違い
災害救助法は被災者の支援や保護を目的に発生した都道府県や市町村の費用を国が助成する制度であるのに対して、被災者生活再建支援制度は被災者へ生活再建のための支援金を直接支給される制度です。
公助を受ける前にやっておきたい日頃の備え
災害救助法および被災者生活再建支援制度は、被災後の救助や応急救護、復旧や復興の費用に対して大きな助けとなります。ただし実際の補助や支援金が届くまでには時間が発生します。まずは自分や家族の命を自ら守る「自助」の備えが重要です。
たとえば災害に備えた防災備蓄は自助の取り組みのひとつに当たります。被災後ライフラインが止まった状態でも避難所への安全な避難や在宅避難ができるように、食料や水などの日常生活を送るうえで必要となるものを備蓄しておきましょう。防災備蓄をしておくことで、ライフラインや物流が復旧するまでや、公助を受けるまでの間命を守りながら生活することができます。
備蓄のなかでも、特に忘れがちなのが「トイレ」への備えです。水道が止まれば、飲料水だけでなくお風呂やトイレといった生活用水も使用できなくなります。マイレットでは家庭や企業での備蓄に最適な長期保存が可能な災害用トイレも豊富に取りそろえております。
まとめ
災害救助法の概要や受けられる支援、条件、被災者生活再建支援制度との違いについて解説しました。規模の大きな災害が発生すると、生活再建や復興、復旧に多くの費用や人手が必要となります。国の支援制度も知りつつ、日頃からの防災備蓄をするなどの自助を進め、いつ起きるかわからない災害への備えをしておきましょう。



