
海底で地震が発生した場合、揺れのほかに津波が発生することがあります。日頃から災害の発生にそなえてさまざまな備えをしている方は多いものの「津波への備えは何をしたら良い?」「津波注意報や警報が出たらどうすればいい?」といった疑問を持つ方も多いかもしれません。本記事では、津波で想定される被害とともに、備えの重要性や具体的なやるべきこと、津波が来る可能性がある場合のやってはいけないNG行動について解説します。津波に関する注意報や警報についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
もくじ
津波の危険認識は人によって異なる
津波は、海底下での大きな地震が発生後、海底の断層が動くまたは隆起することで海面が変動し、大きな波となることで発生します。そのため、地震発生から実際の津波到達までにタイムラグが生じるのが特徴です。
津波到達の危険性があるときには、津波注意報・警報が発令されます。避難までの時間があるためすぐに避難を開始する人もいれば「まさかここまでは津波は来ないだろう」という気持ちから、避難が遅れる、またはしないという人も。
内閣府が発表した「東日本大震災時の地震・津波避難に関する住民アンケート調査」によると、地震発生直後に津波の到達を意識した人は6割弱で、地震発生直後に津波の到達を意識した人ほど、揺れが収まってから避難行動を開始する時間が短い傾向にありました。
東日本大震災時、すでにチリ地震を経験していた人や伝承などで「地震=津波」という認識があった人は避難をすぐに開始した一方、避難せずに犠牲になってしまった人もいます。調査でも、地震当日中に津波から避難した人は約8割であるのに対して、避難しようと思ったができなかった人のうち、気付いた時にすでに津波が迫っていたのは約6割、避難しなかった理由でもっとも多かったのが「過去の地震でも大きな津波が来なかった」が約2割という結果となりました。
さらに、東日本大震災以前に地震・津波の備えをしていなかった人は、地震直後に「避難しなくても大丈夫だと思った」という人の比率が高く、実際に震災で津波を経験し「これほど津波が強い威力だとは思っていなかった」と感じた人が7割強、「これほど津波が高いとは思わなかった」と感じた人が約7割という結果が出ています。
東日本大震災を踏まえた教訓として、家族と避難について話し合うことが7割弱、揺れたらすぐに避難することが5割強、警報解除まで自宅に戻るなどしないこと・過去の記憶・教訓を後世に語り継ぐことが5割弱と、震災で津波を経験してから防災意識が変化したという人も多くいます。
津波によって想定される被害
津波の規模や波の高さによっても異なりますが、以下のような被害が想定されます。
- 溺死、怪我、病気などの人的被害
- 資産の流出、破壊、倒壊、浸水、変形など家屋や施設、防災構造物への被害
- 鉄道、道路、橋、港湾の機能障害などの交通、流通への被害
- 水道、電力、通信、下水道機能障害などのライフラインへの被害
- 養殖筏、漁船、漁網流出・破壊など水産業への被害
- 製品や商品価値の損失など商工業への被害
- 作物被害、農地・用水路埋没など農業への被害
- 幹折れ等の破損、塩害など森林への被害
- 家屋、漁船、石油タンク等の出火など火災による被害
- 石油タンク等の破損、環境汚染など石油流出による被害
- 河川や港の堆砂、砂浜変形など地形の変動
具体的な津波の被害については、以下の記事で詳しく解説しています。
日頃からやっておきたい津波への備え

実際に津波を体験してから意識が変化した人の割合が多くなったことからも分かるように、津波は想定外の場所に到達したり、甚大な被害を出したりする可能性の高い大変危険な災害です。
津波を想定してやっておきたい備えは以下の通りです。
- 避難のための情報収集
- ハザードマップの確認
- 防災備蓄
具体的な備えの内容については、以下の記事で詳しく解説しています。
特に大きな津波によりライフラインが寸断されると、電気やガス、水道が使えなくなります。飲料水や食料のほか、携帯トイレや非常用トイレも忘れずに備蓄しておきましょう。
津波に関する注意報・警報の種類と出た場合の正しい行動・NG行動
地震発生後、津波注意報や津波警報が発令されると避難が必要になります。津波に関する注意報と警報の種類とともに、発令された場合の正しい行動を解説します。
津波に関する注意報・警報の種類と想定される被害
津波に関する注意報・警報には以下の3種類があり予想される津波の高さに応じて分類されています。
- 津波注意報(0.2 m ≤ h ≤ 1.0 m)
- 津波警報(1 m < h ≤ 3 m)
- 大津波警報(10 m < h、5 m < h ≤ 10 m、3 m < h ≤ 5 m)
注意報・警報別に想定される被害を以下にまとめました。
| 注意報・警報の種類 | 想定される被害 |
| 津波注意報 | ・海の中では速い流れに飲み込まれる・いかだが流出する・小型船舶は転覆の恐れがある |
| 津波警報 | ・人は津波に巻き込まれる・標高の低い場所の建物に浸水被害が発生する |
| 大津波警報 | ・人は津波に巻き込まれる・家屋は流出、倒壊する |
津波が来る可能性がある場合の対処方法
地震発生後に沿岸や河川の近くにいるとき、または各津波注意報・警報が発令された場合は、速やかに以下の行動を行いましょう。
- 海の中にいる場合はただちに上がる
- 海岸や河川から離れる
- 高台や高層ビルなどの安全な場所へ避難する
- 特に津波警報・大津波警報の場合は「ここなら安心」と思わずできる限り海岸や河川から離れたより高い場所を目指して避難する
- 津波に関する情報を収集しておく
絶対にやってはいけないNG行動
津波が来る可能性がある場合、以下の行動は大変危険です。
- 車で避難する(渋滞する可能性があるため、必ず徒歩で避難)
- 津波注意報や警報解除前に安全な場所を離れる(津波は繰り返し襲ってくるため)
- 津波注意報を軽視する(高さ数cmの波でも子どもは流される危険性がある)
- 「ここまでは来ない」と過信して避難を開始しない
津波は地震発生後からすぐに到達する場合もあれば、到達までに時間がかかることもあります。また、地震の規模によっては震源地から離れた場所でも津波が到達することもあります。わずかな時間を大切に、すぐに避難をはじめましょう。
まとめ
日頃からやっておきたい津波への備えと、津波が来た場合の正しい行動・NG行動について解説しました。東日本大震災の経験前後での認識の変化から分かるように、津波への危険認識は人によって異なります。たとえ避難をして実際には津波は来なかった、または被害がなかったとしても命を守るうえでの行動に無駄なことはありません。津波の危険性をしっかりと認識し、日頃から備えをしておきましょう。



